とくしゅう Vol.7 2002.4 |
-堀内誠一氏のオシゴト- |
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今回は、個人的にも大好きな絵本作家であり、尊敬するアートディレクターである堀内氏のとくしゅうです。
みなさまが大好きな堀内さんについてはいまさら説明不要だと思うのですが、こうやっていくつかの絵本を並べていると、やはりご周知の通り、変幻自在いろんなタッチをまほうのように使い分けていて、しかしどれをとってもまぎれもなく堀内誠一であるという…。その緻密さと、オリジナリティあふれる仕事ぶりに今さらながらに驚きを覚えます。 そして、わたしがこのへなちょこ本屋を始めようか迷っているとき、背中を押してくれた、彼の言葉をひとつ。ロンドンの古本屋やパリののみの市へ、絵本を探して歩き回っていたころの一言。 「子どもたちに愛されたことのある絵本は、忘れられていても死んではいなかった。誇らしげで、元気さはちっとも変わっていませんでした」 ちなみにこの絵は、マガハの創立者であり、平凡の初代編集長、清水凡亭こと、清水達雄氏の俳句にそえられた堀内さんの絵。「絵のある俳句作品集」より。凡亭さんの亡きがたみ、大津にある「淡淡美術館」に取材に行ったときに凡亭さんの娘さんより、いただいた1冊です。 |
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たろうのともだち 村山桂子さく/堀内誠一え 福音館書店こどものとも傑作集 1987年57刷 200*270 注文番号:J-170 お話に合わせて千変万化、さまざまなタッチを使い分けることで有名な堀内さんですが、このたろうシリーズ1つをとっても、微妙にタッチが描きわけられていて、そのひきだしの多さにおどろくばかり。初版1962年、シリーズ2作目の作品。登場人物+動物のサインペンと背景のコントラストが効いてます。水玉犬が好き。 |
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たろうのおでかけ 村山桂子さく/堀内誠一え 福音館書店こどものとも傑作集 1990年54刷 200*270 注文番号:J-171 シリーズ3作目。前作より、淡い感じのたろうたち。家から、町を通って、原っぱのまみちゃんのところへでかけるたろうたち。水玉犬の顔に水玉がなくなっていることに注目してみたり…。 |
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たろうのひっこし 村山桂子さく/堀内誠一え 福音館書店こどものとも傑作集 1988年6刷 200*270 注文番号:J-172 「おでかけ」からじつに20年。「どうぶつしんぶん」と同じ年に出ました。サインペンの青の色使いが80年代の堀内さんっぽいです。じゅうたんを自分のお部屋に見立てるお話のアイデア、いかにもちびっこがやりそうな感じがいいですね。我が水玉犬はほっぺに1つ、水玉が戻っている…。 |
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こすずめのぼうけん ルース・エインズワース作/石井桃子訳/堀内誠一画 福音館書店こどものとも傑作集 1980年8刷 200*270 注文番号:J-173 動物ファンタジストのエインズワースのお話に挿絵をつけた作品。彼の作品の中ではかなり写実的な1作ではないかと思います。動物絵本としての性格をもたせるためにも、すずめやからす、やまばと、ふくろう、かもなど鳥たちがとてもリアルに、しかしかわいく描かれていてすばらしく、もちろん自然の風景もすばらしく。巧さにうなるばかり。うーむ。 |
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きこりとおおかみ フランス民話/山口智子再話/堀内誠一画 270*200 注文番号:J-174 生前の一時期、家族といっしょにフランス郊外に過ごした堀内さん。そんなこともあってか、フランス民話といえば堀内誠一というくらいで、作品の中でも比率が高いですが、その中の代表作。がさがさっとした動きのあるタッチで、かわいくて、コミカルでもあり、でも重さや深さもあって、そしてちょっと恐くもあり。まさに民話そのものな表現である…。一度みたらかなり印象に残る絵だと思います。品切本。 |
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はんぶんのおんどり ジャンヌ・ロッシュマゾン・さく/やまぐちともこ・やく/ほりうちせいいち・え 学研版/新しい世界の幼年童話19 1972年14刷 230*185 函有 注文番号:J-175 フランス民話をベースにご当地の童話作家ロッシュマゾンが書き下ろしたお話。まっぷたつにされてしまってはんぶんになってしまったおんどりのジョーがよくばりな王様をやっつけて、お姫様をシアワセにします。それにしてもおひめさまの美しさもさることながら、なんとも鮮やかなおんどりです。学研版は、なんといってもカラーのイラストがありがたく。現在この版は絶版。 |
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赤いろうそくと人魚 小川未明著/堀内誠一画 あかね書房日本児童文学名作選 1991年第22刷 A5 カバ少破れ有り 注文番号:J-176 堀内さんミーツ未明童話となると、これはとても幻想的で、とりのこされたような寂しさ漂う叙情的な本となります。和の要素もあるのだけど、どこでもない国である、これまた未明のお話にぴったりの世界が繰り広げられています。強いていうなら、武雄とか知義、初山に似ているかもしれないです。表題ほか「金の輪」「野ばら」「月夜とめがね」「酒屋のワン公」「しいの実」など全15話収録。絶版。 |
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空にうかんだお城 フランス民話/山口智子訳/堀内誠一絵 岩波書店 1992年第1刷 A5 注文番号:J-177 ふたたびところはフランスに戻って、こちらは岩波のせかいのどうわシリーズより。「フランス民話の何気ない魅力にとりつかれてうかうかとあの国に長居したことのある一人のおばさんのささやかなおくりもの」との言葉通り、訳者の山口氏がフランスの7つの地方の民話をセレクトしたものです。お得意のサインペンさらさらタッチが軽妙な魅力にあふれたフランスのお話を彩っています。表題ほか、「いい夢とつまらない旅」「ライオンしのぎ」「雪の男の子」など全7話。 |
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世界むかし話 フランス・スイス 訳=八木田宣子/絵=堀内誠一・ロジャー・デュボアザン ほるぷ出版 1988年初版 220*180 注文番号:J-178 堀内-デュボアザンのぜいたくな組み合わせによるむかし話集です。堀内さんは前半のペロー童話を中心としたフランスの昔話を、デュボアザンがスイスの昔話の挿絵を担当しています。堀内さんのあとがき「フランス昔話の魅力」があるのもうれしく。パンに例えて昔話の魅力を語っています。「ペロー堂のパンは、当時の民衆が食べていたものに、やや洗練を加えたものらしく、パンの上に香料の実がふってあるような教訓のおまけがついています」おしゃれー。版元品切。 |
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日本の童画13安野光雅/太田大八/堀内誠一 第一法規出版 昭和56年初版 245*255 カバー背破れあり 注文番号:OT-101 先日もご紹介した「日本の童画」シリーズの中の1冊です。堀内さんのページは、「太陽のおかあさん」「なんでもしっている鏡」「おやゆびちーちゃん」「やさしいうた」「サーカスのなかまたち」などから抜粋されています。巻末には岸田衿子氏が寄稿しています。「はじめての打ち合わせの日、堀内さんはひじのやぶれたセーターを着ていた。そのこともあって、急に大人になった外人の子ども、という印象だったが、話してみると老成した人のような一面もあった」なんだかいかにも堀内さんらしいエピソードにニヤリ。 |
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BRUTUS創刊号 マガジンハウス1980年JULY A4変型 注文番号:OT-102 そして最後にブルータス。1980年、Et tu brute?の言葉とビバヒルの床屋のオヤジとギャングスターとともに、その歴史ははじまったのでした。やはり堀内さんといえば、ADの仕事を載せないワケにはいきません。オンナノコ本屋としてはオリーブとか、アンアンのコートダジュール特集を載せるべき?とも思ったのですが、編集後記の松山猛氏の愛の言葉にグラッときましてこちらに。ちょっとだけ抜粋--「2月17日に、パリから水夫のジャケツと帽子をかぶった堀内誠一さんがやってきた。新雑誌創刊のために集まったスタッフは、堀内さんの顔を見たとたんに、もう雑誌はできたも同然だぞ!という気分になった…楽しい雑誌が、どんどんカタチになってくる。世の中の楽しいことが見えてくる。堀内さんというのは、そんな人なのである」アシスタントにもちろん新谷雅弘、リポーターに寺崎央、松山猛、都築響一、ファッションディレクターに北村勝彦のクレジット。堀内さんが作った基本的なレイアウトイメージは今のブルータスもほとんど同じ。そして創刊雑誌特有のキモチいい風が吹いてます。 「目を覚ませブルータス」(生活の楽しさを享受してない日本の男の日常をいかに豊かにするかという大問題)「ブルータス人間って誰だ!」(田中光二、橋本治、オキ・シロー、常磐新平、小林信彦ら時代な方々)「ブルータスの予言」「悦楽的生存の研究」(退屈は罪by松山猛)「Brutuscope」(鈴木清順×巌谷國士など)…広告に秋山晶のコピーが踊ってます。そんな時代。 |