とくしゅう Vol.18 2004.1


Once upon a time and
Long time ago.

「昔むかしあるところに」
それはどこへも行ける、だれにでもなれるふしぎな言葉。
王様やお姫さまや王子様、うそつきの小人や、
話をする猫、腕のいい仕立屋がいるとびらの向こう。
昔の人が口づたえにしたお話は、
使い慣れたブランケットのように
あたたかくてここちいいのです。
しんしん冷える冬の夜、
あかあかと燃えるだんろのそばで楽しむ、
民話とむかし話の本のとくしゅうです。
あ、そうそう、あたたかい飲み物もお忘れなく…。




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パンはころころ
マーシャ・ブラウン作/八木田 宜子訳
冨山房 1994年第1刷
A4変型
注文番号:J-410

「三びきのやぎのがらがらどん」や「世界一おいしいスープ」など民間伝承や、民話を題材にした絵本の代表作が多いマーシャブラウンの、有名なロシア民話の挿画。おばあさんがこなをこね、すっぱいクリームをまぜ、まるいかたちにととのえて、バターでこんがりやきあげたパン。ところがパンはとつぜんころころ転がりだします。ころころころがって、のうさぎのところ、おおかみ、ひぐま、そして最後にきつねのところへ。はたして要領よさそうなパンの運命やいかに。それにしても、茶色い丸に顔がかかれてるパンなんですけど、ものすごくおいしそうに見えるのはなぜ。




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パパおはなしして
シビリアーク作/西郷竹彦訳
偕成社世界の幼年どうわ 昭和46年初版
B5
注文番号:J-411


ヨーロッパとシベリアの境にあるウラル地方に生まれ、その大地とひとびとをこよなく愛したマーミン・シビリアーク。そのシビリアークが娘のアリューヌシカのベッドのよこで語ったお話は、ゴーリキーのすすめで1冊の本となりました。その「アリューヌシカのおとぎばなし」の中から5篇を選んでまとめたものがこの本です。ちなみに後に「パパのお話」としても出版されています(現在品切)シビリアークが亡くなってから100年以上たった今も、ロシアのちびっこなら、誰も知らない子はいないほどのスタンダードなお話集です。
「うさぎがおおかみをおいかけたはなし」や「くまがかににおっぱらわれたというはなし」など自然を愛したシビリアークならではの動物たちのお話や、「ミルクとおかゆがけんかしたというはなし」「はえがいっぴきのこったというはなし」など、日々の暮らしの中のくすりと笑えるおはなし。なんでそんなところが気になるのかというところに目を向けたり、ちょっと不条理だったり、でも一貫して自然への畏敬と、日常へのユーモラスで温かいまなざしがある、まさにロシア児童文学らしいテイストですよね。絶版。
ちなみにこの幼年どうわのシリーズからはあの「ロッタちゃんのひっこし」も出ていて、私はこちらの装丁でもっていたので懐かしいです。




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あかいろの童話集ラング世界童話全集2
川端康成・野上彰訳
ポプラ社 1984年11刷
B5
函ヤケ、少シミ
注文番号:J-402

アンドルーラングが収集した世界各地の童話をまとめた童話集。「世界童話の展覧会」と言われたこの童話集は、全12巻で、それぞれタイトルに色の名前がつけられています。東京創元社、以前ご紹介した偕成社の文庫などでも出版されました。難波淳郎の挿し絵も美しいです。この巻に収録されているお話は以下の通り---
箱の中の王女(デンマーク)/山犬かとらか(インド)/金色のかに(ギリシア)/雪むすめ(スロバキア)/ろばのキャベツ/魔女(ロシア)/きずついたライオン/ねことねずみ/とぶ船(ロシア)/からす(ポーランド)/うつくしいイロンカ(ハンガリー)/石屋(日本)/コーバンのぼうけん(ケルト地方)/ラバカンと王子/白いねこ(フランス)絶版。




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イギリスのむかしばなし
ハビランド再話/ベッティーナ画
福音館書店1966年第2刷
少シミ、名前書き込み有
B5
注文番号:J-403

ボストン公立図書館で長年にわたって子供のための読書指導をしてきたバージニアハビランド女史。19世紀の民話の語り部が上のラングであるとするなら、ハビランドはその後継者のひとりと言えるのではないでしょうか。これは彼女が世界のフェアリーテイルを集め、再話した「フェイバリット・フェアリー・テイルズ」の翻訳シリーズです。以前は下にご紹介している学校図書版をご紹介したのですが、こちらはそれより前に刊行された福音館のシリーズ。イギリス、スペイン、ポーランド、アイルランド、ロシアの順で5冊刊行、箱入りの装丁が美しい好企画、いまとなってはとても貴重なシりーズです。
そしてこの「フェイバリット・フェアリーテイルズ」の魅力は、ハビランドの再話はもちろんですが、なんといってもイラストレーター布陣のゴージャスさ!この巻は以前ウチでもご紹介した「フランチェスコとフランチェスカ」のベッティーナ・エアリクが担当しています。「ジャックと豆の木」、「パンケーキ」、「ディック・ウィティントンとねこ」など6話収録。版元品切。




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アイルランドのむかしばなし
ハビランド再話/マロクビア画
福音館書店1967年初版
名前書き込み有
B5
注文番号:J-404

同じ福音館のシリーズより。こちらのイラストはドイツ出身のアルツール・マロクビア(『極北の犬トヨン』の挿し絵でもおなじみ。ちなみにこの本、犬好きにオススメです)が担当。
「ジャックとようきなどうぶつたち」「魔女と長い皮ぶくろ」「パトリック・オドンネルと妖精」など5話収録。版元品切。




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ロシアのむかしばなし
ハビランド再話/ダンスカ画
福音館書店1967年初版
名前書き込み有
B5
注文番号:J-405

同じ福音館のシリーズより。こちらはハーバート・ダンスカが挿し絵を描いてます。「あなたのごけんこうをいのります」「美しいワシリーサ」「ゆきむすめ」など冬の夜にぴったりなお話5話収録。版元品切。




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スペインのむかしばなし
ハビランド再話/クーニー画
福音館書店1967年初版
名前書き込み有
B5
注文番号:J-406

同じ福音館のシリーズより。こちらはあのバーバラクーニーが挿し絵を描いています。「はんぶんのひよこ」「まじゅつ師のホアン・シガロン」「まほうにかかったラバ」など5話収録。エキゾチックなお姫さまや、まじゅつ師のお話をクーニーの絵でお楽しみあれ。版元品切。




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世界のむかし話2ノルウェー
ガラスの山のおひめさま
バージニアハビランド・乾侑美子/訳
レオナード・ワイスガード/画
学校図書 1994年第1刷
B5
注文番号:J-407

そしてこちらは上のシリーズの後に出た学校図書版。ノルウェー、フランス、チェコスロバキア、インドなどが加えられ全9冊のシリーズで出版されました。
こちらはノルウェーのフェアリーテイル。イラストはワイスガード。「ガラスの山のおひめさま」「海の水はなぜからい」「トロルとびりっかす」ほか全7話収録。品切本。




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世界のむかし話4フランス
ねむれる森の美女
バージニアハビランド・谷口由美子/訳
ロジャー・デュボアザン/画
学校図書 1994年第1刷
B5
注文番号:J-408

同じく学校図書版。フランスのむかし話、デュボアザン好きにはたまらない1冊ですね。「十二人のおどるおひめさま」「長ぐつをはいたねこ」「ベルと魔物」などペロー童話を中心にした品ぞろえ。5話収録。




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世界のむかし話9チェコ・スロバキア
森の精
バージニアハビランド・清水真砂子/訳
トリーナ・シャルト・ハイマン/絵
学校図書 1994年第1刷
B5
注文番号:J-409


同じく学校図書版、チェコのフェアリーテイル。収録のお話は、「十二月」「おそろしいクラトコ」「森の精」「羊飼いの約束」「黄金の髪の毛」。この本が発売されるまで、あまり知られていなかったお話がほとんど。美しい娘とまま母の話や、森の妖精、お姫さまと王子様の話などモチーフはおとぎ話の王道ですが、お話の展開が面白いものが多く、さすが童話の国チェコという感じ。T.Sハイマンの幻想的な絵もすばらしいです。版元品切。

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