その他中欧・東欧、ポーランドもあるでよ。

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月へいった魔術師
クリスティーナ・トゥルスカ/矢川澄子訳
評論社 昭和54年再版
A4変型

「きこりとあひる」でケイトグリーナウェイ賞受賞、バレエ関係本の挿し絵でも知られるトゥルスカ。現在はイギリスで暮らす彼女が、自分の血であるポーランドの民話「クラコフの魔術師、トワルドフスキの物語」をベースに描いた作品です。
トワルドフスキは1500年頃に実在した有名な占星術師、錬金術師。トゥルスカの挿し絵はとにかく美しくて、精巧に描かれた絵は、「ページ」というより、「シーン」と表現したくなるような、さながら美しい舞台美術のよう。そしてお話にふさわしくあちこちに占星術や、魔術のモチーフが配されていて、深読みの愉しさのおまけつき。
お話は、ちびっこ本によくある「悪魔だまし」がベースになってます。どうしても月に行きたい魔術師と悪魔のお話。矢川氏の訳でお楽しみあれ。版元品切。



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お月さまのかお
ゲルダ・マリー・シャイドルぶん/アントニー・ボラチンスキーえ/こうしなともこやく
ほるぷ出版 1977年初版
270*238


「おじいさんの庭」などでも有名なドイツの作家、シャイドルのお話に、ポーランドのボランチンスキーが絵を描いてます。このお話、のちにヨゼフヴィルコンによっても描かれるのですが個人的にはこちらの方がすきかも。ボラチンスキーはシャガールや、ボッシュ、ブリューゲルらの影響をうけており、80年代以降の作品はもっと暗くて、いかにもなかわいさではなくなっていくので、どちらかというと通好みな画家になるのですが、この作品は彼のもつ幻想性と、こども向けのかわいさがいい感じでバランスをとっていて、シャイドルのお話にぴったりです。
ちっちゃなオンナノコ、マリオンのえのぐの絵から抜け出した月のこどもが、どろぼうにつかまったり、あわてて逃げ出して川に落ちて、漁師のあみにかかったり、動物園の動物たちに会ったり、そして最後にはほんものの月と張り合ったり…とさまざまな冒険をするお話。版元品切。


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まっくろネリノ
ヘルガ・ガルラー作/絵/矢川澄子訳
偕成社 1993年46刷
A4変型

オーストリア出身のガルラーの1968年に描かれたデビュー作。日本でもすっかり定番絵本ですよね。個人的にはオリジナルドイツ版の装丁より、この日本版の装丁のほうが好きです。書体もいいし、「まっくろネリノ」というタイトル訳もいい。アニメーション(カジノロワイヤルのタイトルバックをル・カインらとともに担当してたことはけっこう有名)や舞台装飾などでも活躍してた彼女の色彩感覚が存分に発揮され、黒をバックにパステルの色のあざやかさが際立って、ちいさいときもお気に入りの1冊でした。むかし、「ネオンブライト」というおもちゃがあって、(黒いテレビ画面みたいなところに穴があいててそこにカラフルなピンをさして絵を作り、スイッチをいれるとうしろからライトがあたってまさにネオン状態になるおもちゃ)それにはまってた頃だったので、余計にこの絵本にコーフンしてたらしいです。という思い出はさておき、ひとりだけまっくろだったネリノ、劣等感からみごとたちなおって、きょうだいみんなの役に立つしみじみ系のお話です。



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あめのひ
ユリー・シュルヴィッツ作・画/矢川澄子訳
福音館書店 1972年初版
233*260
ビニールカバー
そして雨の日といえばシュルヴィッツのこれですね。あまりにも有名なので特に説明はいらないと思うのですが…。ポーランド出身、戦争の苦難を経て、アメリカで活躍する彼の作品、柳宗元の七言詩に影響を受けて描いた代表作の「よあけ」をはじめ、日本にもファンが多いのは、色の選び方、空間の使い方にそこはかとないわびさびみたいなものがあるからではないかと思うのですが…。くすんだ緑と水色がつくりだす、ほのかな雨の日の光。美しいことばから広がっていく、ふだんは何気ない雨の世界。お気に入りの古いレコードのように、なにか肌にしっくりくる感じの絵本です。版元品切。


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なみだのこうずい
ベーター・ブレンナー作/アダム・ヴェルツ絵/山室静訳
ヨーロッパ創作絵本シリーズ
佑学社 1978年
295*215

スイスの作家ペーター・ブレンナーが書いた寓話のような遠い都の物語。都にこれまでにないききんが襲います。食べものといえば、みなとにつくわずかばかりの魚だけ。そんなある日、都の書記さんが古い記録を発見します。曰く、「向こうの島に宝ものが埋められている」さっそく宝さがしの船が出発しますが…。
原題は「Tranen」(=なみだ)…といっても悲しいお話ではなく、むしろユーモラスで、人間のおもしろさを感じます。絵はハンガリーの画家アダム・ヴェルツ。ちょっとキーピングをほうふつとさせるタッチながら、色使いは明るくて、特に海やなみだの色合いがとてもきれいです。お話の中でもキーワードになる「なみだ」の青をたいせつに描いている感じ。絶版。


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鳥のうた
ジョールジュ・レホツキー絵/木島始詩
佑学社 1979年初版
248*260
カバー
さて、今年の更新はハンガリーの建築家で画家であるレホツキーが孫のために描いた2冊の絵本のうちの1冊、「鳥のうた」でしめたいと思います。この丹精に描かれた人や自然の営みから、こぼれおちてくる言葉を拾い、紡いだのは木島始。はじめの言葉にはこのように書かれています。「目に見える一番小さい単位から、つみかさね、つみかさね描かれて層々と、いのちの構造が胸を打ってくる。目に見えない骨格がしっかりとジョルジュレホツキーに捉えられているのは、誰にも明らかだ。この画家が建築家だということは、ゆるぎない画面の堅固さを、経歴から解明してくれる一つの事実だ…こつこつ克明に人や自然の営みを描きこんである画家から、爽やかな持続する情熱を感じとらない人はいないだろう」
きこえるかしら 檻から飛びでる鳥のきもちが
みえるかしら 鳥をむかえる花々のゆらめきが
檻をでる鳥はどこへも飛んでいけます。むかしの町へ、果樹園へ、丘の上へ、港町へ、羊飼いのところへ、家から家へ、おとぎのおばあさんのところへ、ふしぎな船出へ…。そしてまっさらな雪のような新しい年へ。鳥たちの旅立ちを見送ったら、さて、わたしたちも新しいページをめくるとしましょう。どうかみなさま、よいお年を!
絶版


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ねずみせんせいのしんさつじかん
イングリット・オルデン作/長谷川四郎訳
ほるぷ出版 1989年8刷

オルデンは、チェコ生まれ、リンツの芸術学院で学んだ後、オーストリアを拠点にグラフィックデザイン、広告の仕事でも活躍しています。この絵本は「ひとりぼっちのセピア」(同じくほるぷ刊)に次いで2作目のもの。
ぞう、かば、おうむ、ニガテなねこ、かめ、ふくろうと次々とやってくる患者たちに、ねずみせんせい、大忙し。やさしいねずみ先生ときたら、謝礼はほんのすこし。かめの背中からすべり降りることでいいんだそうで…。スミ一色の線画で描かれたちっちゃなねずみせんせいと、患者の動物たちのカラフルな様子の対比が楽しいです。そのせいか、ねずみ先生、よけいちっちゃく見えるし、患者さんの方がエラそうだし…こんなやさしいお医者さんに診てもらいたいです。版元品切。


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