日本もよさも忘れない。

※こちらの本は現在ソールドアウトになっております。
amazon.co.jpのボタンをおすと、アマゾン内のその本の紹介ページへ飛びます。


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
ふくらむふくらむぱん
絵・深沢省三/案・婦人之友絵本制作部
婦人之友社 1970年初版
215*215

婦人之友のこども向け絵本としてシリーズででていた「よくみる・よくきく・よくするえほん」は創立者であり、自由学園の創設者でもあった羽仁吉一・もと子夫妻の考え方を反映した、ていねいな作りとテーマ選びの妙が光る好シリーズでした。こちらは、絵本制作部自ら企画立案。絵は、日本に童画を定着させて「日本童画家協会」のメンバーであり、鈴木三重吉が創刊した児童雑誌「赤い鳥」の常連であった深沢省三が描いた絵本。みるるは男の子。するるは女の子。今日はおかあさんといっしょにパンをつくります。ねこのきっく(なんてすてきなネーミング)も登場、かわいすぎです。魔法使いのようなパンのおじさん、イーストぼうやたちの大活躍で、おいしいパンが食卓にならびます。なめらかでユーモラスな省三の筆さばき、パンの香ばしさがぷーんと漂ってくる無条件におなかがすく本です。版元品切。(この本にちなんだ参考リンク…銀貨社より)


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
ことりはともだち
お話と画・吉良幸世
婦人之友社 1972年初版
215*215

自由学園で長きにわたって教鞭をとった吉良氏、自然に対するこまやかな目が光るさまざまな著作を遺しましたが、やはりなんといっても小鳥モノのすばらしさははずせないと思います。
「野の鳥を知ることは自然を大切にする心につながります。この絵本はこどもたちがことりと友だちとなることを願いながら、東京付近で見られるものを選び、四季を追って描いてみました」とのご本人の言葉通り、このずらっとそろったことりたちを見ただけでもうすっかりおともだち気分です。
もちろん絵師ではないので、こなれたという絵ではないのですが、ていねいにきちんと描き分けられた小鳥たち。芝生にくるムクドリ、大きく波を描きそらを飛ぶヒヨドリ、山のウグイス、シジュウカラの巣づくり…どれも親しみやすく、かわいい文章で紹介されています。巻末には、お母さん向けの説明付き。前後の見返しには、それぞれキジバトやムクドリ、スズメの飛び方、歩き方がシルエットで描かれています。版元品切。


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
わたしのげた
武市八十雄・案/小野千世・文/絵
至光社国際版絵本 1969年初版
250*250

以前「いとでんわ」を御紹介した、個人的にもだいすきな絵本作家小野千世さんの絵本。
わたしはげたがほしかったの。それで…おかあさんのげたはわたしのげたになりました。
おかあさんのげたをはいたオンナノコの旅はげたまかせ。ひっそりしたたけやぶへ、ちょうちょうについていったり、ぶらんこでゆらり。船の汽笛がきこえる屋根のうえでせえたあを編んだり。小野さんがつくりだす独特のリズムの世界のげたをはいて、わたしたちもあっちへこっちへ。彼女が書くあとがきも、いつも味があってだいすきです。絶版。


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
おそばのくきはなぜあかい
石井桃子文/初山滋絵
岩波こどもの本 1996年第18刷
207*164

この表紙の子の「なぜなぜ」ポーズがたまらなく、おなかの底からかわいいのツボを刺激してきます。日本につたわる昔話の中から「なぜ」がテーマの話をセレクト、石井桃子が再話した本です。表題ほか、「おししのくびはなぜあかい」「うみのみずはなぜからい」の聞けば思い出すなつかしいお話3本です。滋のさし絵は、あいかわらず縦横無尽、奇想天外、でも的を心得ていて、うならされます。このわけわからないようでいて、ものすごくつじつまが合っている芸風が個人的には清順おじさんを連想するのですがいかがでしょうか。版元品切重版未定。


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
アンデルセン童話
佐藤春夫文/初山滋絵
トッパン 昭和30年2刷
201*182
昭和29年に発行されたトッパンの絵物語シリーズ。イソップ、グリムに続く第3弾であるアンデルセン童話は、佐藤春夫が再話、そして滋が詩情ゆたかな絵を描きました。「雪の女王」「親指姫」「はだかの王さま」の3話が収録されています。本の構成は、4色のページと1色のページが交互にくるよう、編まれているのですが、4色ページでは、滋の美しい色彩感覚が、1色ページでは影絵のようなシルエットが楽しめて、どちらも甲乙つけがたい魅力があります。ゲルダとばらの花、赤いチューリップと姫、王様の行列…ほんのすこし色あせたページなのに、イメージは目に焼き付くような美しさです。


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
ありこのおつかい
いしいももこ・さく/なかがわそうや・え
福音館書店 1981年22刷
A4変型
このお花と見えるでしょうか、ちいさな赤い帽子をかぶった、アリ。ちびっこ本の大御所石井桃子せんせいと、以前しょうかいした「みにくいおひめさま」「ももいろのきりん」など、ちびっこアブストラクトな絵がたまらない中川宗弥(あの中川李枝子さんのダンナさんですね)のコンビの名作です。ちいさなあり、「ありこ」(ナイスネーミング。保険屋ではないです)が、ちょこちょことおつかいにでかけた先で、かまきりのきりお(これまたナイスネーミング)にまるっと飲みこまれてしまい、お腹の中でおおあばれ。そのきりおも、またむくどりのむくすけのお腹の中へ…というくりかえしのストーリー。ありこをはじめとしたお腹の中に入ったみんなのあばれっぷりが楽しくて、中川氏のふわふわしたリズミカルな絵との呼吸もぴったり。中川氏の絵って、なんか日本人ばなれしてますよね。


中をのぞく
中をのぞく

中をのぞく
つきがみていたはなし
おはなし・もりひさし/え・きくちとしはる
こぐま社 1993年3刷
A4変型

月にまつわるすてき絵本、日本だって負けてないですよ。踊りだしたくなるような満月の夜、もりの学校の一年生の動物たちが庭に集まります。ところが秋の満月の日に、嵐がふいて…。
この藍を基調にした粗削りな版画、山の木からのぞく月のなんともいえない空気感。画像では伝えられないスケールと、空間の妙、物語と絵の阿吽の呼吸を楽しんでいただきたいです。ちょっとした仕掛けもありますが、これはネタバレしないほうがいいかも。版元品切。
こぐま社のページの森比左志の言葉もぜひ。→こちら




中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
しょうぼうていしゅつどうせよ
渡辺茂男作/柳原良平絵
福音館書店 こどものとも101号1964年
190*270

乗物モノでおなじみ渡辺茂男氏と、あのアンクルトリスこと柳原良平氏のコンビが作った船の絵本。ドイツからじどうしゃを運んできた船、エクアドルからバナナを運んできた貨物船、黒い煙をはくタグボードなど、みなとには船がいっぱい。とつぜん船がしょうとつ、救助艇がでて、そしてしょうぼうていの出動です。アンクル船長の絵についてはもはや説明不要だと思いますが、見開きいっぱいで見る船と海がじつに爽快爽快。えんぴつのらくがきがありますが、なんだかナイスだったので、できれば消さずにおいて欲しいな…。版元品切。


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
わらべうた
まじませつこ絵
福音館書店こどものとも117号 1965年

これまたこどものともの隠れた名作です。「はないちもんめ」「からすかねもんかんざぶろう」「おおさむこさむ」「うえみれば」「うちのうらのくろねこ」など、言葉をつぶやくだけでおまじないのようにちびっこに帰れる、日本のうた、わらべうたの絵本。真島節子氏はほかにも「あんたがたどこさ」「うめぼしさんのうた」などわらべうた本で有名なお方。動物や遊ぶ女の子たちのくるくるした表情、背景にはちびっこの時、袖を通した着物のような柄のパターンが踊ります。懐かしくて、でもとてもあざやかでモダンな「おべべ」という感じ。品切。


中をのぞく
中をのぞく

中をのぞく
ゆかいなさんぽ
土方久功作・絵
福音館書店こどものとも116号 1982年
180*255

こ、これは…知る人ぞ知る、こどものとも最強のナンセンス作です。南太平洋、特にパラオ芸術に影響をうけ、彫刻、デッサン、詩作ほか民族研究まで多岐にわたって活躍したある意味「得体のしれないオッサン」土方氏の絵本デビューはなんと60代。孫にきかせていた話を本にしたものです。このなんともいえないデッサン、独特のタッチが幼児体験として強く印象に残っている人も多く、のちの「ぶたぶたくんのおかいもの」とあわせて、ただただ凡人にはすごいの一言しか出ないです。
ぶたがぶたぶたぶたと歩くのです。あひるはがおがおと歩くのです。とらが民族チックなお面のようなのです。これ以上の説明は止めておきましょう。最後の2見開きの脳内破壊力たるや…。懐かしい人はナミダしてください。はじめての人は覚悟してください。版元入手不可。


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
おこりっぽいやま
三田村信行作/武井武雄絵
チャイルド本社おはなしチャイルドリクエストシリーズ
1995年
210*186
注文番号:J-273
価格:\900

三田村信行氏と武雄のナイスタッグ、おはなしチャイルドの中の名作です。シニカル風味がお得意な三田村氏のちょっと毒のあるお話に、武雄の無国籍グラフィカルな作風がみごとはまってる作品。「どこでもない」感があるからこそのリアリティと、読み手に委ねられたオチで、極上の寓話の一皿に仕上がっています。
海の中にいたおこりっぽいやまはどかーんと噴火して地上に現れました。眠りから目覚めるたび、たびたびどかーんと怒ってきた山。しかし人間たちが住みついて街を作ったいま、山は眠っています…。やはり、怒ってくれるウチが花ということで。無関心は最大の危機。ソフトカバー。絶版。


中をのぞく
中をのぞく

中をのぞく
うたのないきゅうかんちょう
藤田圭雄・文/大橋正・絵
トッパンのキンダー絵本
フレーベル館 昭和38年

昔むかしある日、雲のうえにあるてんごくの事務所で神様がいっしょうけんめい、ピアノを弾いてました。神様は鳥たちの歌を作曲していたのです。たくさん作った歌をそれぞれの鳥たちにプレゼントする日、きゅうかんちょうは遅れてしまいました…。日本グラフィック界のモダニズム形成期の旗手である大橋正のイラストです。以前どっかで、「デザイナー『大橋正』が、イラストレーター『大橋正』にイラストをかかせているのだ」というご本人の言葉を聞いたことがありますが、まさにこの本はその言葉の体現ですね。このレイアウトのためにこのイラストありという感じです。イラストレーターとデザイナーのコラボレーションもいいけど、この本の中の歌を弾き語りして作った神様のように、こういうグラフィックありきの自作自演状態もオツなもんです。昭和38年当時としてはかなり斬新だったんではないですかね。絶版。ちなみにこのシリーズは裏表紙にお話に関する歌の楽譜がついています。


中をのぞく
中をのぞく

中をのぞく
ゆめのえほん
くしだまごいち著・画
あかね書房 創作どうわ絵本 1966年初版
B5

他人の夢のお話って妙に面白かったりしますよね。それがあのやわらかな着想と言葉で魅了する詩人串田氏のものだとしたら…これはもうオモシロくないハズがない!串田氏が毎日書き留めていた夢の中から厳選10話を、あのちびっこ的イラストとともに楽しめるぜいたく版です。ねこに似た動物がでてきて、くず屋のおじさんに「これはねこですか」ときいたら「これはねこじゃない『じぇこ』だぞ」…なんて話とか、いっしょうけんめい化粧して見せにくるアリとか、かんきちとケンカしてしおまめの袋をぶちまけたら、そのまめが急成長して…とか、どれも読みながら声を出して笑ってしまいます。しかしちょっと背中のあたりがスースーうすら寒いような気もします。そんなシュールなスリルもふくめて、楽しんでいただきたい夢の絵本です。しかし巻頭の言葉で「あんまり恥ずかしいのは(載せるのは)やめにしました」ってそれも読んでみたいですよ串田さん…ムフフ。(一番上の「中をのぞく」のスズメに飛ぶ方法を伝授してもらってる絵!…笑えます)絶版。復刊はげしくきぼう!


中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
ほしはみたの
杉田豊・絵/武市八十雄・文
至光社 ブッククラブ1970年
248*248

至光社の武市氏の杉田氏とのタッグは、ちひろさんとのコンビとはまた違った濃密さで、数々の名作を生みだしていますが、個人的にはこの作品がもっとも好きです。あとがきにはこんな風に書かれていいます。「寒い冬の夜空に、キラキラ星が輝きました〜北の国の青い湖の上にいたひとつの星が、何かがおこったことを感じました。それは、つめたい空気の中のほのかに暖かく美しいできごとだったのです…こんなお話、書いてみたいな。私たちは話しつづけました」
さむいさむい冬の夜。こおりの教会から聞こえる静かな音楽。その窓から、つのもガラス、足もガラス、身体もガラスのきれいな鹿が音楽にあわせて駆け出します。クリスマスという特別な日の奇跡といまそれを分かちあえるしあわせを、讃美歌のように静かに語りかけてくる絵本です。"Wake up, little tree a Christmas fantasy"というタイトルで海外でも翻訳出版されました。絶版。