おしゃれオランダ、ちょっとへんてこオランダ。


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だれも死なない
トーン・テレヘン作/長山さき訳/金子國義絵
メディアファクトリー 2000年2刷
A5変型

トーンテレヘンはオランダのお医者さん兼児童文学作家。あらゆる文学賞を総ナメにしている人でもあります。トーンがどうぶつのお話を書くにあたってはいくつか規則があったようで、そのうちの1つ「誰も死なない」から、谷川俊太郎氏が邦題をつけました。(ちなみに原題「Bijna Iedereen kon omvallen」は『だれでもちょっとつまづくとこ』とでも訳せそうな)ひっくり返れないことにコンプレクスをもつサギや、とまどいながらタコとお茶をするリス、理屈っぽくてナイーブなアリ、暑い夏にコートとさよならするコオロギ、固すぎる誕生日ケーキを焼いてしょげるサイ…どうぶつたちときたら、みんな首をひねっています。ほのぼのかわいくてナンセンス、ときにグサリときて、うっすらコワイお話。なんとなく夏にぴったりだと思うのです。金子氏の挿し絵もお話の雰囲気に合いすぎでかわいすぎ。



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こどもの情景
A・A ・ミルン著/ル・メール挿絵/早川敦子訳
パピルス 昭和30年2刷
A5

ミルンといえば、プーさん、プーさんといえばミルンですが。もともとは風刺漫画「パンチ」の編集に携わる一方、独特のユーモアを駆使したエッセイや詩を書き、1926年にこどもの詩の本「when we were very young」を出版。そして翌年発行されたこの本は、のちに出た「Now we are six」とあわせて、のちの「プー横丁」への布石となった作品です。原題「The gallery of children」の「gallery」をなぜ「情景」と訳したか、あとがきで訳者が語っています。「鋭い感覚とユーモア、そして何より、リズムと不思議なひびきをもつ『ことば』を通して、『こどもの領域』に踏み込んでいったミルン」
「こども」が「こども」らしくあるがままの視線、それを見つめるかつて「こども」であったオトナの視線、2つの視線が交差するところに結ばれ、浮かびあがる「こどもの情景」。表紙のジェイン・アンが見つめる窓の内へ、外へ…オトナの私たちは行ったりきたりしながら、ミルンの描いた情景を旅していきます。
そしてこの本の幸福の1つは、ミルンの詩がオランダの画家ルメールの挿し絵に出会ったことにもあると思います。「王女さまとリンゴの木」「海べのお城」「小さな銀のカップ」「バーバラの誕生日」など全12篇のこどもたちの情景の輪郭をあざやかな手さばきで縁取っています。


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とりのクリスマスツリー
フランス・ファン・アンロー文/ヤープ・トル絵/朝倉澄・岸田衿子訳
講談社 昭和56年8刷

かつてヌーヌー本などをご紹介している名作の多い講談社世界の絵本シリーズ。オランダの女流詩人であるアンローのお話です。絵を担当したのは、同じくオランダのヤープ・トル。デザイナーであり、人形劇団をつれて各地を回っていた経験もある「旅する画家」抑えた色調の中で描かれるモミの木の自然、小鳥たちの美しい色彩が醸し出す空気感に、じっと見入ってしまう作品です。
クリスマスにいなかのおばあさんにツリーを買ってもらうマルク。でも、おばあさんは動物たちにいつもえさをあげていたので、お金が足りなくて、ツリーの飾りが買えずがっかり。でもえさをもらっていたたくさんの小鳥たちはすてきなプレゼントをもってきてくれました。ことりが大好きな赤い木の実、そして美しい羽が彩りを添えることりのツリー。ゾロトウの「しあわせなモミの木」をほうふつとさせるお話です。こんなクリスマスツリー、ほんとにあったら見てみたいです。絶版。


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くまのローラ-LOLA DE BEER
デ・ヨング作/ジョージーン・オーヴァワーター絵/横山和子訳
福音館書店世界傑作童話シリーズ1994年初版
220*160/カバー

オランダはユトレヒト在住、ちびっこ本にひつようなのは、リアリティー、というのが持論のデヨングと、多数のちびっこ番組や本にとってもかわいいイラストを描くオーヴァワーターのコンビの、笑いに、さまざまな愛に、おやつに、ちょっとだけ涙もありのお話。ノールがおたんじょうびにもらったふかふかのくまのオンナノコ、ローラ。なんともマイペースというか、わがままで、くいしんぼうで、すぐ「いやーん」とか、プンプンとおこってしまうローラなのだけど、2人は最高のおともだちです。エピソード別の章立てになっているのですが、どのお話も、くまのローラのペースにみんながふりまわされてて、それがとても愉快です。それでも、生クリームに砂糖にバターにラスクに、オートミールに、チョコレートペースト(ぜんぶ分量がトゥーマッチ!)の、ローラ・スープはちょっといただけないと思うけど…。


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