おばあちゃん

いつもぬいものをしていて、お料理がおいしくて
ママよりものわかりがよくて、おこづかいをくれる。
あの引き出しの中に、魔法の世界を隠してるんだ。

あたたかい毛糸のひざかけみたいなひと。
いつかまた、遊びにいっていい?
あのなつかしい匂い、おばあちゃんのへやに。

※こちらの本は現在ソールドアウトになっております。
amazon.co.jpのボタンをおすと、アマゾン内のその本の紹介ページへ飛びます。




中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく


リンゴの木の上のおばあさん
ミラ・ローベ作/塩谷太郎訳
学習研究社1981年第34刷
B5変型
アンディは、おばあちゃんがいなくてさびしい男の子。でも、このお話が終わるころには、2人のおばあちゃんができています。
1人はリンゴの木の上で出会った、スーパーおばあちゃん。不思議な車をもっていたり、遊園地やサーカス、航海、トラ狩りにまでに連れていってくれる人。もうひとりはふつうのやさしくて、ミシンのぬいものが上手で、ケーキを焼いてくれるおばあちゃん。動と静、まったく正反対のイメージだけど、どちらもちびっこが描く理想のおばあちゃん像って感じで、ローベってほんとにちびっこの気持ちが手にとるようにわかる人なんだなあと、いまあらためて思います。
もうひとつ、なんといっても見逃せないのは次々でてくるおいしそうなたべもの!サーカスで綿あめとからし付ソーセージの甘辛な組み合わせを、えんえんかわりばんこに食べたり、前述の不思議な車は、ボタンを押すときいちごのジュースやら、チョコレートボンボンなんかがでてくるシロモノ。ゆでたジャガイモのトプフェン、極めつけはすもものケーキ…ぺちゃんこなカタチですごくおいしそうなのでした。
ちびっこのとき、とにかく私もこんなおばあちゃんが欲しくて、何度も何度も読み返しました。いまでもイラストとか、話のディテールとかぜんぶ覚えているくらい。時計を植えたら、時計の木がはえてくる、ってエピソードもお気に入りでした。版元品切。




中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
ギャンブルのすきなおばあちゃん
ダイヤル・カー・カルサ作/ごとうかずこ訳
徳間書店 1997年初版
260*210
以前「ゆきのねこ」をご紹介したカルサのもう一つの名作です。この本が紹介したくて、とくしゅうを組んだといっても過言ではなく…。この絵本のおばあちゃんは、ロシアで生まれ、ポーカーが大好きな人。おばあちゃんと「わたし」はいつも一緒。庭の木の下でいろんなお話をしてくれたり、ひみつのひきだしを見せてくれたり、かけトランプを教えてくれたり…。そしてこれも「ゆきのねこ」と同様、別れをテーマにしたお話です。おばあちゃんがいなくなった午後、「わたし」がすること。泣けます。おばあちゃんが大好きだった人なら、かならず共感できるのではないかなあと思います。カラフルな美しい色の中に抑制された感情の表現。カルサは、じつはとても日本人に近い感覚をもった人のような気がして仕方ありません。絶版。




中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
おばあさんの絵本
東君平・作
白鯨社 昭和45年初版
著者サイン本
ヤケ
186*240
「紅茶の時間」でおなじみ、クンペイさんの「おばあさんの絵本」。ご自身のいなかのおばあさんをモデルに書かれたもののようです。背中に大きな野菜かご、でも時に髪に花をさして。ぽかぽか春先の縁側でおじいさんの夢を思い出してニコニコ。夏まつりの朝、しわしわの手で、ふかしまんじゅうを作る。「やっぱり冬は雪がいちばん」…昔、おばあさんのおばあさんの言った言葉をまねしてつぶやくおばあさん。
クンペイさんの描くおばあさんは、日本のおばあさん。なつかしい日本の原風景そのもの。いなかのおばあちゃん家のあの感じ、しんとした空気、たたみの冷たさ、台所の湯気まで…いまはもうない場所に帰りたくなりそうです。
巻末にはクンペイさんファン必見、若かりし頃の写真が載っています。神社の石段にすわって、彼が見つめてる先はどこだったのでしょう。絶版。





中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
おばあさんのひっこし
エドナ・ベッカー作/神沢利子・山田ルイ訳/白根美代子絵
福音館こどものとも 1996年3月号
212*224
おばあさんがかわいがってる猫とめうしとろばを連れて、おひっこしをはじめました。気に入るお家を探して、旅に出たのです。でもパートナーのねこ、うし、ろばみんなが気にいるお家はなかなか見つかりません。とうとうたどりついたおばあさんにぴったりのお家は…。
こども向けの童話を多く書いているエドナベッカーのお話を「くまの子ウーフ」でもおなじみ神沢さんが娘のルイさんと共訳したお話。白根さんの描く動物たち、クローバーいっぱいの野原、のどかな田舎の細い道。ごろんと寝ころんでみたい…。





中をのぞく
中をのぞく
中をのぞく
バルビンカのぼうけん
ヤニーナ・ブロニェフスカ作/内田りさ子訳/遠藤てるよ絵
新日本出版社 1968年初版
カバー
210*186
ポーランドのヤニーナ・ブロニェフスカのちいさなお人形のお話です。このお人形のバルビンカは、ツギハギスカおばあさんがあまり布で作ったちいさなお人形。ひょんなことからおばあさんの手をはなれていろいろなところを旅し、もう一度おばあさんに出会うまで、たくさんの人をしあわせにします。
元気な男の子のビーツェク、えかきのパレットおじさんと助手のグリーンさん、手まわしオルガン弾きのおじいさん…このお話に登場するのは、貧乏だけど、元気いっぱいで、毎日を自分なりに楽しんでいる人たち。お話が書かれた当時のポーランドを象徴するような雰囲気にあふれていますが、中でももっとも魅力的なのは、やはりツギハギスカおばあさん。その名のとおり、古着からすてきなドレスを、あまり布から可愛い人形をつくりだします。おばあさんが、仕事場のあかりをともすと、あたりはたちまち楽しい雰囲気になるのです。
遠藤てるよさんの描いたバルビンカや犬のかわいさ、街の雰囲気もあわせて、ほんわか気分で楽しんでほしいお話です。版元品切。





中をのぞく

外国のおばあさんの引出し
佐橋慶女
文藝春秋 昭和55年初版
A5変型
おばあちゃんちの引き出し。ちょっと秘密めいていて、まだ知らないいろんなふしぎなものがつまってそうな場所。そんな場所をタイトルにしたこの本は、食、住、衣、学、遊を柱に、西欧、北欧、中欧、インドまで…作者が旅したいろんな国のおばあさんの知恵や手わざを集めた一冊です。「季節を保存する」「りんごジャム作り」「スパイス博士たち」「窓辺のおしゃれ」「二つの国のボビン・レース」「オランダのエプロンのおしゃれ」「エバ夫人の靴袋」「雪かき社交」「もてなしの心得」などなど…。ちびっこの時は、ちょっとドキドキしながら開けたおばあちゃんの引き出し、あの気分のままでページを開いてみるのもいいかもしれません。この版は絶版。